第二十話 人のふり見て我がふりしない!

第二十話 人のふり見て我がふりしない!


ここ1週間に相次いで似たようなことを耳にした。

どちらも傲慢で怠惰なことだし、そうならないように気をつけているつもりだ。しかしながら、もしかしたら人生のどこかで無意識にしてしまっていたのであれば、あらためるつもりで綴ってみる。こういう大人はGOBではないし、大人だからこそ気をつけたいこと。

一読あれ。



「タクシー。」

先日タクシーに乗ったときのこと。

タクシーに乗るときはいつも運転手さんとたわいのない話をする。話が盛り上がったときなどは、あえて遠回りしてもらうこともある。さてさて今回の運転手さんとコロナの話をしていたら「そういえばこないだですね~」と最近の出来事を話してくれた。

運転手さんは毎日いろんな人を乗っけるし、次に乗る人にも何かあってはいけないと自腹で買ったマスクを用意しているのだという。ある女性のお客さんがマスクをしていなかったので、よかったらマスクどうぞと渡したら降りるときに「ありがとうございます。」と言いながら200円を置いていったそうだ。むむ、なんて粋なことをしよる女性だ。やりおる。

そんな話から一転まだまだ続く。マスクをしていない男性が乗ってきたとき同じようにすすめたら、帰ってきた言葉が「うるせえな!余計なお世話だ!」なんて言われてしまったんですよーと苦笑いしながら話をしてくれた。

自分に非があることを言われると怒り出す。そういう人って。。。あれれ、これってもしかしたら、小さいときに勉強をしろと言われて「今やろうと思っていたのに!」問題と一緒ではなかろうか。つまりはまだ大人になり切れていない証拠を自らアピールしていることなのだ。しかもイキって言っちゃってるとこがまた恥ずかしい。もしかしたら大なり小なり、無意識に似たような行動してるのかもしれない。

自分にも言い聞かせる。気をつけよう。



ゴルフ場。

こちらも先日のゴルフ場のレストランでの出来事。

ハーフを終えてランチメニューを選び、同伴者が冬限定「牡蠣とエビフライ定食」を頼む。ウェイトレスさんが「牡蠣のエビフライ定食ですね~」とオーダーを繰り返す。「牡蠣のエビフライ?」”の”と”と”が違うだけで、なんだか不思議な食べ物になってしまった。そのことに気づき、全員で和やかに大笑い。ウェイトレスさんも自らツボにハマったようで、笑いから始まるランチタイム。

ここから一転、話はまだ続く。こんな楽しい場所なのにこういった些細なことにすごい剣幕で怒り出すお客さんも結構いるようで、我らは完全にこのウェイトレスさんの味方。「そんなジジイ、無視無視!」とかいろんな慰め言葉を掛けてたら「これからそんなことがあっても気にしないでいられそう。ありがと~」と言ってくれた。きっと嫌な客が続いて凹んでいたのだろう。ランチを終え帰り際、そのウェイトレスさんはツボにハマったまま笑いながら遠くで見送ってくれた。

なんなんでしょう。サービス業をしている人ならそんなのよくあることかもしれないけど、9人良い人でも1人こんなお客さんがいたらその日はすべてが台無しになる。その1人にはなりたくないものだ。



「石原裕次郎。」

このまま終わってはなんだか歯切れの悪いコラムになりそうなので、逆バージョンをひとつ。

中学生のころ、石原裕次郎がお亡くなりになりテレビの報道はその話で埋め尽くされていた。その時に見たインタビューをなぜかずっと覚えていて、こういう大人になりたいなと多感な時期に刺さった言葉。どんな人だったかをドラマの美術さんに聞いた時のこと。「石原裕次郎は年下にもどんな人にも敬語を使う。スタッフの家族の誕生日から結婚記念日までも覚えていて、毎年忘れずお小遣いをいただいた。とにかく気を配る心の広い男だった。本当に惜しい人を亡くした。」と涙ながらに話をしていた。

あの時代だから知られていない諸々もあっただろうけど、石原裕次郎みたいなすべてを手にした大人が、偉そうにしないで謙虚でいられる格好良さ。チヤホヤされて当たり前のスーパースターが、決して蔑んだりせず勘違いすることもない。死んだときに言われる言葉って、生前どう生きてきたかを物語る。

死んで惜しまれる生き方をしたいものだ。



「まとめ。」

日常茶飯事、似たようなことは日本に限らず世界中で繰り広げられてる嫌なあるある話。

自分を大きく見せたいのか、気に食わないだけなのか、それとも機嫌が悪い時にスイッチが入ってしまうのか。理由はいろいろあるだろうけど、生み出されるものはただただ不快で気分のいいものじゃない。どんな状況でもできることなら避けて通りたい。

結局は、相手がどうあれ自分がどう対処してどう行動するか。そこが人としての懐の広さに繋がるような気がする。サラッと笑い飛ばすのか、グッと堪えて心に留めるのか。

GOBになるための道のりはまだまだ長いようだ。


ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
この記事、如何かしら?
  • キュン (3)
  • WOW (2)
  • NEW (2)